地域がん診療連携拠点病院としての活動

がんの治療体制

1.がんの集学的治療

 がんは、もともと自分の体の正常な細胞の一つが突然変異を起こしてがん細胞になることで発生します。徐々に大きくなって塊(腫瘤)を形成するようになり、さらに周囲の組織にしみこんでいったり(浸潤)、リンパ流や血流に乗って、リンパ節や離れた臓器に飛び火したりするようになります(転移)。がんの治療が難しいのは、この『浸潤』と『転移』のためです。手術でがんを切除したつもりでも、切除範囲を超えたところに目に見えないがんが残ってしまい、後から再発してくることもあります。

 したがって、がんがある程度進展している場合には、その広がり具合に応じて、手術のみに頼るのではなく、化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法などと組み合わせて、総合的に治療をすすめていくことが大切になります。これを 『集学的治療』 と呼んでいます。当院がんセンターでは、それぞれの診療科の専門医が化学療法専門医や放射線治療専門医と協同し、個々の病状に応じた集学的治療を提供してまいります。

2.がんの手術

 手術療法はがんを手術で切り取ってしまう治療法です。がんだけをくりぬくように切ると、がんが体に残ってしまう可能性があるので、通常、まわりの組織(周囲の正常組織やリンパ節など)を含めてがんを切除します。浸潤や転移を認めないような早期のがんであれば、手術でほぼ100%取り切ることができますので、手術療法を積極的にすすめています。

 また、浸潤や転移を認めるような、ある程度進行しているがんでは、手術療法・化学療法(抗がん剤治療)・放射線療法を適宜組み合わせて、治療効果の向上を目指していきます(集学的治療)。術式によって標準的な切除範囲は決まっていますが、個々の患者様の状態に応じて、再発を防止するためにできるだけ広い範囲を切除する手術(拡大手術)や、体の負担を少なくするために切除範囲を最小限にとどめたり体の機能を温存したりする手術(縮小手術や機能温存手術)も行います。

さらに、手術による体のダメージを軽減するために、小型のカメラを用いた内視鏡下外科手術(腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術)も積極的に導入しています。

3.がんの化学療法(抗がん剤治療)

 抗がん剤の治療を行うことによりがんを小さくする、これ以上大きくしないなどの効果が期待できますが、同時に身体にとって望ましくない副作用も出現します。副作用の起こりやすさは、使用するくすりの種類や投与量により異なります。

 通院治療センターでは、通院で抗がん剤の投与を行います。通院治療センターでは、治療当日に安全に抗がん剤が投与できるように、医師・看護師・薬剤師がそれぞれ連携して対応します。また治療後にご自宅で発現した副作用についても、がん相談支援センターを中心とした相談を受け付けており、安心して治療が継続できる環境づくりに努めています。

4.がんの放射線治療

 放射線は、腫瘍細胞の遺伝子に作用することにより腫瘍を消退させる治療です。その特徴は、身体の負担が少なく機能や形態を温存しやすいことです。すなわち身体の外から放射線を照射するので、場所にかかわらず治療可能で、作用や合併症は照射された部位に限定的です。照射中は何も感じません。

 最近、放射線の分布を腫瘍の形状に合わせる技術や、小さい腫瘍に放射線を集中させる技術も飛躍的に向上しました。また手術や化学療法と組み合わせて合併症を分散させたり効果を高めたりすることも多く行われています。
このような放射線治療は、医師、医学物理士、認定看護師、専門技師、事務担当者、などの協力によって初めて可能となるため、当院では放射線治療センターとしてチーム医療を行っています。